近世考古情報フォーラム


主旨

 日本考古学協会の『考古学年報』、ニューサイエンス社の『考古学ジャーナル』、東京大学史学会の『史学雑誌』、東京考古談話会の『東京考古』など、考古学や歴史に関連する逐次刊行物の中には「〇〇年の研究動向」として、その前年ないし前年度の調査研究の動向を総括する記事を掲載しているものが何冊かあります。

 それらは、その分野に精通していると考えられる若手研究者や大学院生などに依頼して執筆してもらうのが普通ですが、中には中堅以上の研究者が携わることもあります。

 依頼された方々は、たいていの場合まず対象となる時期と地域の、対象となる時期に刊行された論文や単行本、発掘調査報告書、実施された発掘調査や遺跡見学会、シンポジウム、展示会などについての情報を様々な方法で収集し、それに基づいて「研究動向」を導き出して執筆することになります。

 しかし、その前提となる情報の収集作業は、到底一人で担いきれるものではなく、周辺の知り合いなどの伝手を頼って進められ、多くの時間と労力を必要とし、このため収集作業を終えると、そこから研究動向を分析するゆとりもなく、集めた情報の羅列に留まってしまうことも多々あるように見受けられます。

さらに、刊行物の多くがほとんど同じ時期に刊行されることもあって、たいていの場合、別々に依頼された方が、それぞれ別々に同じ作業を進めることになります。

 こうして執筆される「研究動向」ですが、苦労の割には業績として評価されることもなく、利用される機会も少ないと言わざるを得ないのが現状です。

 そこで、情報収集を一元化し、恒常的に蓄積する場を設けることによって収集の労力を軽減することができれば、各執筆者はオリジナリティーのある考察を行って、本来の「研究動向」を抽出提示することができるようになると思われます。

 さらに、同一のフォーマットで同じ場所に継続的に情報の蓄積を行うことによって、重複や脱落も防げ、さらにはデータベースとしての活用も可能になります。

 論文など参考文献を執筆する場合でも、既刊の論文名や報告書名、それにまつわる書誌情報を一から入力するのではなく、所定の場所にあるデータベースから引用すれば済むことになります。

 もちろん、海外を含めた全国全地域、全時代を対象にこうした情報収集ができれば理想的ではありますが、いきなりこれを目指すのは困難であることから、まずは関東地方の近世、近現代を対象に、江戸遺跡研究会のホームページの一角を借りて、2023年の分からスタートしたいと思います。

将来的には対象とする刊行年を遡っていくとともに、地域や時代を広げていくことも視野に入れています。

 

 趣旨にご賛同いただける方のご参加をお待ちします。

 

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考古学関連イベントの情報

コメント: 2
  • #2

    江戸遺跡研究会 (水曜日, 04 10月 2023 18:27)

    第35回 江戸遺跡研究会大会 「江戸の園芸」

    2023年1月29日(土)12:30~17:00
    ① 成田涼子氏(豊島区教育委員会) 「江戸の園芸-遺跡調査から「園芸活動」を考える-」(基調報告)
    ② 平野恵氏(台東区立中央図書館) 「園芸文化研究の可能性」(講演)
    ③ 宮川和也氏(株式会社CEL) 「江戸遺跡における「植栽痕」認識の変遷と現在」
    ④ 市川寛明氏(江戸東京博物館) 「商品植木鉢の成立と江戸の園芸市場」

    2023年1月30日(日)10:00~16:45
    ⑤ 成田涼子氏(豊島区教育委員会) 「駒込・巣鴨の「園芸センター」発掘調査の現在」
    ⑥ 山本英二氏(信州大学人文学部) 「文献史料からみた尾張藩江戸藩邸の園芸」
    ⑦ 追川�生氏(東京大学埋蔵文化財調査室) 「大名屋敷跡遺跡の植物栽培遺構について」
    ⑧ 田中純子氏(練馬区立牧野記念庭園) 「江戸から明治時代にかけてつくられた植物図について」
    -総合討論-

  • #1

    江戸遺跡研究会 (水曜日, 04 10月 2023 18:17)

    江戸遺跡研究会186回 例会開催のお知らせ

    【開 催 日】 2023年9月20日(水)19時00分~20時45分(開場:18時30分)
    【会  場】 渋谷区立勤労福祉会館 2F 第四洋室
    【開  催】 対面のみ
    【発 表 者】 岩崎岳彦(株式会社東京航業研究所)
           栩木 真(新宿区地域文化部文化観光国際課文化資源係)
    【発表内容】「新宿区舟町遺跡4次調査の成果と四谷の大縄地」